私の子供の頃は放射能といえば・・・「ゴジラ」

東北関東大地震と大津波が原因の原発事故、そして放射能の恐怖。

一連の大災害で頭の中に浮かんできた１９５４年制作の「ゴジラ」を、突然観たくなった。

私が生まれる前のこの映画はもう数えられないくらい観ているのだが、今回ほどこの映画のメッセージが心にしみた事はなかった。

水爆実験の影響で２００万年前の怪獣が蘇って東京を恐怖のどん底に叩き落し、防衛隊の攻撃にも怯むことなく破壊を続ける大怪獣「ゴジラ」にはなすすべもない。
しかし、ある博士が実験していた化学兵器が唯一「ゴジラ」を葬る事ができる事を知るが、博士は悪用される事を恐れ拒否する・・・。

この映画が公開された時にはマスコミのほとんどがゲテモノ映画としての扱いしかしなかったらしいが、世界唯一の被爆国であり、アメリカの水爆実験で漁船が被爆したり放射能の雨が日本に降り注いだりと、日本国民には放射能は目に見えない身近な恐怖であったに違いない。

制作会社始まって以来の宣伝広告作戦を行った効果で、観客動員数が日本の人口の十分の一という大成功を収めたとの記述があるが、果たしてそれだけだったのだろうか？

この映画にこめられたメッセージは、人類が生存している限り形を変えて人に問いかけるでしょう。

ハリウッドの「キングコング」に即発されて制作された？日本の大怪獣「ゴジラ」は、放射能の恐怖や幾度も争いを繰り返しながらも新しい殺人兵器を作り続ける人の哀れさ、考えもしなかった想定外の大惨事の恐ろしさ、そして幾度踏み潰されても負けない日本人の心を、もっとも的確に表現した日本映画の名作中の名作である。


特撮監督の円谷英二は最初、放射能で巨大化した大タコが日本を襲う案を会社に提出したらしい。
もし円谷英二案が採用されていたら、世界の「ゴジラ」は誕生していなかっただろう。

大タコの原案が採用されなかった円谷監督は、「ゴジラ」映画３本目の「キングコング対ゴジラ」でその鬱憤を晴らす事になる。

んまぐねぇ・・・「山形スクリーム」

「ぎんざＮＯＷ！」に素人で出ていた頃から知っている竹中直人。

俳優としても映画監督としても才能（努力の塊のような人）を発揮している彼の６本目の監督作品は、初めて挑んだホラーコメディー作。

山形県のオシャカベ村で８００年前の落ち武者が蘇り、村人やこの村に来ていた歴史研究会の女子高生が襲われる・・。



竹中直人の交流の広さが分かる豪華な出演者たちを生かそうとしたのか、映画自体にまとまりがなく最後までバラバラだったし、「山形スクリーム」の題名にあるように後半は「キャー！」の悲鳴ばかりで、残念ながらあまりお勧めできない作品です。

しかし彼と同世代の映画好きには分かるだろう、全編いたるところに使われている名画のパロディー。
背景に花火が上がる決闘シーンはヒッチコック（ヒッチコックはキスシーンでしたが）や、お得意のブルース・リーなどなど・・。

一番驚いたのが、「恐怖の街」のリメイク版である「ボディー・スナッチャー」のラストシーンを使ってた事でした。

本当に竹中直人って心底映画を愛してるんでしょうね。

何度も観るともっと過去の名作をパロった場面を発見できるのでしょうが、山形の人が「こだなものいらね」って言いそうなぐらい、もう一度見る気が起こらない竹中直人のカルトムービー「山形スクリーム」でした。

絵本の世界・・・「よなよなペンギン」

アニメ界の大御所、りんたろう監督が初めて挑戦したフルＣＧアニメ映画。

亡き父の言葉「ペンギンだって空を飛べる」を信じて、ペンギンコートを着て夜な夜な町を歩き空を飛ぶ事を夢見る少女ココ。

ある夜、ペンギンの卵のようなカプセルを見つける。

そのカプセルから不思議な人形が現われココの大好きなペンギンだらけのお店へ招かれるが、そこはおとぎの国のようなゴブリン村への入口であった。

ゴブリン村は闇の帝王に支配されそうになっていたが、「飛べない鳥が村を救う」との言い伝えでココが招かれたのだった。

ペンギンコートに身を包んだ少女ココは、闇の帝王を滅ぼしゴブリン村を昔のようなおとぎの国に戻す事ができるのでしょうか・・・。

りんたろう監督ファン、アニメファンから評価が最悪のこの映画ですが、私的には好きなアニメです。

フルＣＤにもかかわらず絵に温かみがあり、何処を取っても絵本の１ページのような画面に安心させられる。

おじさんの私からは殺伐とした感じに受け取れる最近のアニメになれた子供達にはいまいち物足らない作品なのかもしれないが、これからの日本を背負ってたつ子供達には是非見せてあげたい一本だと思いました。

マイケルも大ファンだったシリーズ最新作・・・「フリー・ウィリー 自由への旅立ち」

最近はもっぱら姪っ子用に録画した映画を観続けています。

この作品もその中の１本。

１５年以上前に大ヒットし３作まで作られた「フリー・ウイリー」シリーズの１３ぶりの最新作は、舞台を南アフリカに、主役を少女にかえて今までのイメージを払拭しようと作られたようですが、全体的なストーリーは変えようがなかったようでした。

母親が亡くなって父親に育てられた少女は、父親が怪我で入院したために南アフリカに住む母親方のおじいちゃんに預けられる事になった。
おじいちゃんは潰れかけの遊園地を経営していたのだが、ある日まだ子供のシャチが遊園地のプールに紛れ込んだことで遊園地の人気者になる。
その子どものシャチと友達になった少女は海に返そうとするが、親シャチから離れたことで海に返しても生きていけないことが判明する。

安楽死か他の遊園地に移すしかなくなった子シャチを少女が助けようとする・・・。

１作目はとても感動した名作だと記憶しているが、この手の映画はストーリーを大幅に変えることができずマンネリ化はしかたがないところ。
それといくらＣＧが発達したとはいえ、この映画でのＣＧ多用はしらける元。

しかし、どんな時代であってもこの手の映画は子供達に観せてあげてほしい作品だと思います。

あ～ぁ、ヒッチコック・・・「ボディ・ダブル」

学生時代に大好きで、名画座をはしごしてまで観に行っていたヒッチコック映画。

ハリウッドの監督さんの中にもヒッチコック崇拝者がたくさんいるようですが、その中でもこの「ボディ・ダブル」のブライアン・デ・パルマ監督はピカイチ。

この映画もヒッチコックの代表作「めまい」のオマージュ作なのです。

閉所恐怖症の売れない３流俳優が仕事も恋人ともうまくいかずふてくされている時に、俳優仲間から豪邸の留守番を頼まれる。
この豪邸からは望遠鏡で向かいの美しい人妻が同じ時間に裸で踊る事を教えられ、覗きに夢中になり望遠鏡の中の人妻に恋をしてしまう。
ところがある日、望遠鏡で覗いていると人妻のバッグを盗んだストーカー男が人妻を殺そうとしているのを目撃する。
彼女を助けたい一心で走る彼に待ち受けていたものは？
誰も信用してくれない謎を解き明かすために、彼はポルノ映画会社を訪ねてあるヒントを掴む事になり新たな展開が・・。。

メラニー・グリフィスがポルノ女優役で出演しているエロチックサスペンスながら、ヒッチコックファンはもちろんヒッチコック作品を見たことのない方でも大いに楽しむ事のできる一本です。
私自身、今回で何度目か分からないくらいこの映画を観てますが、やはり面白い！

もう一度若い頃のようにヒッチコック作品を全部見直したい気持ちになりました。
ちなみに私が好きなヒッチコック映画は、彼にとっては異色作の「ハリーの災難」って映画なのです（＾◇＾）

ＤＳの人気ソフトが映画に・・・「レイトン教授と永遠の歌姫」

大人気のゲームソフトが映画になりました・・と言ってもゲームをしない（昔はしてました）私にはまったく分からないのですが。

謎解きゲームらしいので、ゲームの内容は大人向けなのかな？

映画はどちらかと言うとお子様向けで、たいした謎解きもなくストーリーもゆるく、途中で何度も眠たくなってしまいます。

ゲームファンの為だけに制作された映画だったのでしょうか～？？

コナン・ドイルもビックリ！・・・「シャーロック・ホームズ」

私もビックリした新しいシャーロック・ホームズの登場！

最近アクション映画やＳＦ映画づいてるロバート・ダウニー・Jrがホームズを演じ、ジュード・ロウのワトソンとアクションで難事件を解決していく。
　
私のような歳の者には違和感のあるシャーロック・ホームズ像ではあるが、若い人たちには堪えられない魅力あるシャーロック・ホームズなのだろう。

私などの彼のイメージは鹿撃ち帽姿でいつもパイプを咥え、大きな虫眼鏡で小さな手がかりから怪事件を解決してしまう頭脳的な探偵さんなのですが、小説では冷静沈着で行動力があり、ヴァイオリンの演奏をし、ボクシングもプロ級の腕前。化学実験が趣味でパイプを離せないヘビースモーカーで薬物依存だったこともあったとあるので、案外この映画のような人物だったのかもしれない。

ストーリはあまりたいしたことがないのですが続編を作る気満々のラストだったので、この映画のシャーロック・ホームズに痺れた方は期待してもいいのではないですかね～（＾◇＾）

夢の中の夢、そのまた夢の中・・・「インセプション」

昨年の超話題作「インセプション」、ほんとに凄い映画です。
「ダークナイト」の監督だったので期待大だったのですが、見終わって「さすが！」って感じでした。

他人の夢の中に侵入して機密を探り出す産業スパイ。
彼は最愛の妻を失い、犯人と疑われて国際指名手配されていた。
子供達の待つ家へ帰るために、ある企業の跡取り息子の潜在意識の中に入り込み別の考えを植えつける「インセプション」というほぼ不可能なミッションを最後の仕事として実行する。
夢の中、その夢の中、またその夢の中へと侵入してゆくが、彼の夢の中に生き続ける最愛の妻が原因で予想もつかない展開へと・・・。
そして夢から戻って子供達の待つ家へ帰ってきた彼は・・・？

夢の中の人が夢を見ているのかはどうかと思うのですが、SFでありながらアクションあり、サスペンスあり、幻想的であり、切ない愛の物語であり・・。
ちょっと欲張りすぎた感があるので、観終わった後に疲れが残るかも。

この映画を観て思い出した映画がある。
旧ソ連時代の名作SF映画「惑星ソラリス」。
未知の惑星ソラリスの海は生命体で、その生命体と接触を試みた学者はそれぞれ自閉症になったり自殺したり。
その謎を解き明かすべく派遣された男が見たものは・・・。

この映画は派手な展開もなく淡々と物語が進んでいくが、実に不思議な感覚へ観るものを連れて行ってしまうので、「インセプション」を観て面白かった方は是非この「惑星ソラリス」も観てほしい。

高校生以上の人には絶対観てほしい・・・「レクイエム・フォー・ア・ドリーム」

「何だこの映画は～」と思いながら観だしたのに、知らず知らずに引き込まれてしまった麻薬や薬物の恐ろしさを描いたこの映画は、ほとんどの人が観終わった後に落ち込んでしまうほどの後味最悪映画だと思います。

しかし若い人には絶対観てほしい映画でもあります。

ニューヨークのブルックリンにあるアパートでひとり寂しく暮す未亡人。
彼女の楽しみは視聴者参加番組を見ること。
彼女の息子は、高校は出たが定職にはつかずフラフラして友達と麻薬に手を染めてしまう。

ある日、彼女の元へ大好きな番組の出演依頼があり、昔の赤いドレスを着てみるものの太りすぎて着る事ができなかったために医者に処方されたダイエット・ピルを飲み始める。

一方、母親のダイエット・ピルは麻薬で飲みすぎると大変な事になると注意する息子は、デザイナーの彼女と洋服店を持つ事を夢見て友達と麻薬売買を始める。
最初は順調に資金が溜まっていくが、それぞれが麻薬の魅力に取り付かれ取り返しのつかない事になっていく・・。

登場人物の４人がともに最悪の結果を招いてしまう凄惨なラストなのですが、麻薬が切れて転げまわるような場面もなく淡々と麻薬が人を犯していく様がかえって恐ろしい。

「覚せい剤やめますか、人間やめますか」より強烈に心に刻まれるこの映画を、私は文部省特選にして学校で魅せるべきだと思ったしだいであります。

美少女で銀幕デビューしたジェニファー・コネリーの汚れ役も見ものですよ。

韓流怪獣映画・・・「グエムル 漢江の怪物」

韓国のスピルバーグと称される監督作品であり、韓国での興行成績が一番になり、カンヌ映画祭でも絶賛されたとの前評判に、思いっきり期待してみた映画。

アメリカの研究者がホルムアルデヒドを大量に川（漢江）に流してしまう（本当にあった事件をもとにしている）。
その影響で世にも恐ろしい怪獣が出現し川で遊んでいた人々を襲い食い尽くす。
川岸で売店をしていた家族の娘がその怪物に襲われ連れ去られてしまい、いつまでも頼りない父親と家族は娘を取り返すために奮闘するが・・・。

私にはこの映画が賞賛されるのが分からない。
私が韓国人ではないためなのか？韓国の人は本当にこの映画を大絶賛したのだろうか？

シリアスなストーリーの合間にユーモアを入れるのが得意な韓国映画ですが、この映画にはそれは必要だったのでしょうか？怪物に連れ去られた娘の家族や父親をこんな設定にしなくてもよかったんじゃないか？
そして、観衆の期待をわざと裏切るように作られたラストシーンにする必要はあったのだろうか？
何だか。この映画全般に監督の作為的手法が鼻についてしかたがない。
本当の名監督は自然に撮っても後世に残る映画を作るし、強烈なメッセージを残すものです。

そういう意味から私はこの映画は嫌い！
・・・なのですが、なかなか評判の良かった映画ですのであなた自身の目で見て評価してください。